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勝ち残るために必要な「たったの一言」とは...?

僕はトレードに対するメンタル面では、野川徹さんから多くを学んだ。
野川徹さんは、僕が最も尊敬するトレーダーである。

そしてその野川徹さんが最も尊敬しているトレーダーは、リチャード・デニスである。

リチャード・デニスとは伝説的な先物トレーダーであるが、たった400ドルから数十億ドルに資産を増やしたという逸話を持っている。
そしてリチャード・デニスでもうひとつ有名なのは、タートルズである。

タートルズとはリチャード・デニスがわずか2週間の研修プログラムで育て上げたトレーダーズ集団であるが、もともとのきっかけは彼の同僚のウィリアム・エックハートと「トレーダーは養成することが可能かどうか」という言い争いに端を発したのである。


僕の愛読書である「マーケットの魔術師」にはリチャード・デニスへの詳細なインタビュー記事が、そして「新マーケットの魔術師」にはウィリアム・エックハートへの詳細なインタビュー記事が、もちろんタートルズについても触れられているから、是非これらの書籍を手にとってお読み頂きたい。

このトレーダーズ集団「タートルズ」からは、非常に優れたトレーダーが輩出されたことでも有名となったが、タートルズは新聞広告を使って一般公募で参加者を募ったのだ。

「あの伝説的なトレーダーのリチャード・デニスから、トレードを直接的に教えてもらえる!」

当然ながら、一般公募へは1,000人を超える人たちから応募が殺到した。
そしてアンケート形式の紙面テストで40名に候補生が絞られ、その中からさらに10人だけが選りすぐられることになった。

「リチャード・デニスから直接指導を受けた10人は間違いなく、リチャード・デニスと同じようなトレード実績を叩き出すことができたのだろう...。」

いま、もしトレードで勝てていない人は間違いなくそう思うに違いない。
なぜなら伝説のトレーダーから、エントリーポイントや利食いするポイント、損切り、ポジションサイズなどについて、直接的に指導してもらえたというのだから...。

でも結果は違った。10人の選りすぐられた精鋭たちの約半分が満足にトレードできなかった。、

落ちこぼれとなったタートルズの中には、「カーティス・フェイスらごく一部のものだけが特別にリチャード・デニスからトレードの秘密を伝授されたに違いない...」と思い込む人がいたくらいだ。

ところがカーティス・フェイスの著書「タートル流投資の魔術」によれば、そのような事実は全くなく「みな同じ教育を受けていた」のであって、同じトレード手法を使っていながら結果に天地の差が出るのは他の理由によるものだというのである。

いま、勝てているトレーダーならば、その理由はもうピンときたのではないだろうか。

結果に天地の差が出るのは「トレードでの心理的な面において、一貫性や規律を貫けたかどうかの差。そしてどこまで執行できたかの差」だとカーティス・フェイスも語っているのである。
結果を出すことができなかったトレーダーは、自己の思惑や恐怖という心理面が影響して、執行にも一貫性を保てなかったということなのである。

ところでカーティス・フェイスとは、当時19歳でタートルズの中では最年少であったにも関わらず、その後の僅か4年間で3,000万ドルという実績を上げた「タートルズの中の最高エリート」とも呼ばれている人物である。


「マーケットの魔術師」シリーズをお読み頂いたことがあるトレーダーならば気が付いていることだと思うが、その中に登場する伝説のトレーダーたちからは、トレードで成功するために欠かせないこととして同じ単語が繰り返されている。

その単語とは、「自己規律」という言葉である。
トレードで成功するためには欠かせないものとして、この言葉が繰り返されている。

もちろん勝ち残るためには、トレード手法やトレードスキルを磨かないといけないのは当然のことではあるが、それよりも共通して「自己規律」ということを最も重んじているのだ。


以下に「勝てているトレーダー」と「勝てていないトレーダー」を対比してみよう。
ここでいう「勝てているトレーダー」とは安定して投資資金を増やしているトレーダーで、「勝てていないトレーダー」とは投資資金を増やすことができていないトレーダーだと解釈して頂きたい。

もしあなたが仮に、含み損となっているポジションを3つ保有していたとする。
自分の投資資金に対して、それぞれ「5%の含み損」「10%の含み損」「15%の含み損」だったとした場合、どのポジションを一番最初に見切るだろうか?

これは保有しているポジションごとの相場状況にもよるが、すべてのポジションの相場状況が同じようなものだとするならば、勝てているトレーダーは最も大きな含み損となっている「15%の含み損」を一番最初に切る選択をする。
勝てていないトレーダーは、真逆の行動で最も大きな含み損である「15%の含み損」を残したがる。

それでは利益が出ているポジションの場合はどうだろう?

勝てているトレーダーは、なるべく利を伸ばそうとするのに対して、勝てていないトレーダーは、なるべく早めに利益を確定したがる傾向にある。

つまり、勝てているトレーダーは含み損に対してはリスクを選好したがらず、含み益に対してはリスクを選好したがる傾向にある。
そして、勝てていないトレーダーは、含み損に対してはリスクを選好したがり、含み益に対してはリスクを選好したがらない傾向にある。

だから利益はゆっくりと得て、損失はただちに断ち切ることが重要ということである。

勝てているトレーダーは大胆さと臆病さを併せ持ち、勝つことよりも負けないことを常に心掛け、相場が読めないところではじっと待って、ポジションを建てることを控える。
その一方で勝てていないトレーダーは、常に無謀なまでに勇猛果敢で、勝とうとすることばかりを考えて、待つことが苦手で焦り急ぎ、チャンスを逃さないようにしようと常にポジションを建てていないと気が済まない。
あなたもポジポジ病という言葉を聞いたことがあるだろう。

勝てているトレーダーはリスクをコントロールする資金管理を重要視する傾向が強く、決して大きすぎるポジションは建てないし、投資資金に見合った適正なポジションサイズでポジションを建てる。
勝てていないトレーダーは、勝つために必要な手法ばかりを重要視する傾向があり、急いで利益を増やそうと投資資金に対して明らかに大きすぎるポジションを建てたがる。

勝てているトレーダーは常に向上心を持ち、他人の意見ではなく自分自身の分析を重んじる傾向があり、損失のトレードを受け入れ、その経験を次のトレードに生かす傾向がある。
勝てていないトレーダーは、自分自身の判断に自信が持てず、簡単に利益を増やすことを望んで、他人の分析などが常に気になり、損失のトレードを受け入れたがらない傾向がある。

勝てているトレーダーは損失のトレードに対しても、利益を上げるために必要なコスト(費用)と考えているから、負の気持ちを引きずることはない。
勝てていないトレーダーは損失のトレードに対して感情的になり、反省しないどころか負の気持ちを引きずったままトレードを重ねていく。

勝てているトレーダーは、利益のトレードに対しても図に乗ることはなく、淡々と利益のトレードを積み重ねていく。
勝てていないトレーダーは、利益のトレードに対してはとても気分が良くなり、図に乗って高揚しやすい傾向がある。

勝てているトレーダーでも損失のトレードを繰り返すことは普通にあるが、ポジションを小さくしたりトレードを控えたりして、常に悪い感情を排除してトレードにのぞむ。
勝てていないトレーダーは、損失のトレードを繰り返すと感情的になり、一発逆転を狙ってポジションをさらに大きくしたり、トレード回数を増やして損失した資金を早く取り戻そうとする傾向がある。

勝てているトレーダーはトレンドを好み、勝てていないトレーダーは天底狙いを好む傾向がある。


このように勝てているトレーダーの資質と勝てていないトレーダーの資質を比較して見ると、多くの成功したトレーダーが語っているように、「自己規律」の重要性がお分かりいただけるのではないだろうか。

最後に、僕は「勝ち残るトレーダー」とは「価値残るトレーダー」であると肝に銘じている。
もちろん「お金=価値」ではあるが、将来的にも資金を増やし続けるためには「経験=価値」、「反省=価値」、「戒め=価値」なのである。

損失で終わったトレードからは実に大きなものを学べるものである。そういう「トレードにおける経験=価値」という視点を常に忘れないで、これからも日々のトレードと向き合っていきたい。

 

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